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非鉄金属を軸に、GXや半導体、リサイクルなどグループの重点領域を牽引―― 持ち前の機動力を活かしグループ会社の商品の販路拡大を睨む│アルコニックス・三高株式会社 代表取締役社長 山森 茂

グループシナジーを活かした販路拡大で業界再編をチャンスに
銅・アルミをはじめとする非鉄金属素材を多角的に扱うアルコニックス・三高株式会社。2019年に就任した山森茂社長のもと、モノづくり産業の基盤を支える専門商社としてアルコニックスグループの一翼を担う企業です。
現在は銅管/銅管継手・機械装置部品・半導体関連材料という3つの事業分野を軸に、事業所のある地域ごとに特色ある事業を展開。半導体材料の分野では、銅板材料の納入からスクラップの回収、製品としての再納入までを担う循環型ビジネスにも取り組んでいます。
アルコニックスグループが「長期経営計画2030」で重点領域としている「半導体」「自動車」「リサイクル」とも深く関連するこれらの事業において、同社はどんな強みを持ち、どのような展開を考えているのでしょうか。
坂本電機製作所やマークテックといったグループ内企業との協業を通じ、新たな市場開拓にも果敢に挑む山森社長に、現在の主力事業と今後の展望を聞きました。
アルコニックス・三高株式会社(以下、アルコニックス・三高)はアルコニックスグループ企業として2010年4月の設立で、翌月営業開始。非鉄金属の流通商社として、銅・銅合金・アルミニウム・ステンレス・チタンなどを取り扱い、素材販売だけでなく機械加工・表面処理・樹脂との複合製品まで提供。札幌・東京・名古屋・大阪の4拠点と3つの配送センターで全国展開している。グループ傘下となったことで、安定した資本基盤と信用力を得て取扱商材を大幅に拡大。グループにとっても非鉄金属流通の強化を果たす重要な提携となった。
企業理念として「企画提案型の専門商社」を掲げ、銅管・機械装置部品・半導体材料の3つを事業の柱として展開してきた。東京・名古屋・大阪・札幌の4拠点で地域特性に応じた事業を展開。名古屋拠点ではグループ内でも珍しいBtoC事業として、オフィス家具と日用雑貨品の企画開発から楽天市場での通販まで手掛ける。札幌拠点では北海道特有の暖房器具部品やアルミ漁船向け材料を供給し、ラピダス株式会社とデータセンター関連プロジェクトへの参入も目指している。

アルコニックス・三高株式会社
代表取締役社長
山森 茂
同志社大学文卒業後、日本写真印刷株式会社(現NISSHA株式会社)入社。1989年に三高金属産業株式会社に入社し、2007年に同社取締役就任。2010年 アルコニックス・三高株式会社執行役員、2015年に取締役、2019年6月に代表取締役社長就任。「情報・人・資金」の3つの資産を活かしたグループ再編戦略を推進。現場主義を重視し、社長就任後はグループ会社の工場を訪問して中堅・若手社員とともに学ぶ姿勢を貫いている。
2010年のM&Aで扱う材料の選択肢が拡大
――2010年の三高金属産業株式会社とアルコニックスとのM&Aでは、PMI(Post Merger Integration)を担当されたと伺いました。当時の所感をお聞かせください。
山森社長:前身の三高金属産業株式会社では、銅板を中心とした非鉄材料を扱う営業を経て取締役を務めていました。
もともと、総株数の3分の2をアルコニックスの前身である日商岩井グループ、神戸製鋼グループ、三菱商事グループが均等に持ち、残りの3分の1を従業員持株会が持つという独特な資本体系の会社でした。時代の変化を感じつつ、いずれは何かしらの業界再編があると予感していましたから、M&Aが行われたことに驚きや違和感は少なかったですね。
グループ傘下となった直後後は、企業の風土・風習・ルールの違いに苦労した面もありますが、アルコニックスという後ろ盾ができたことで仕入先・販売先からの信頼が格段に向上し、営業は商談を進めやすくなりました。社会的な信頼度の向上というメリットが勝った印象です。また、扱う商品やサービスの幅をもっと広げたいと考えていましたから、アルコニックスグループが海外で展開している新しい材料が使えるようになり、ビジネスチャンスが広がることへの期待感がありました。
――2019年に社長に就任された経緯と、当時の心境をお聞かせください。
山森社長:当時、私は前身の会社時代から取締役として経営に関わっていました。アルコニックスグループ企業となり、その後「自分が会社のトップならこうしたい」と考えることも次第に増えてきたので、実際に社長就任の話をいただいたときは、「想いを果たす日が来たか」と感じました。
材料商社・流通の役割は、時代とともに変化しています。ちょうど社長就任の頃は、価格や納期といった条件面だけで選ばれる時代では既になくなっており、「商流を仲介する機能だけの商社は生き残れない」という危機感がありました。社員の福利厚生の充実、既存商材の深堀と横展開また新商材の発掘など、視点と発想を変えればお客様と社員にもっと喜んでもらえる会社になれるのではないかと考えていたので、思い切ってやってみようと決意を新たにしたことを覚えています。
――もともと山森社長は営業畑出身で、「足で稼ぐ」をモットーにされていたそうですね。社長に就任されてからは、特にどのようなことを意識されているのでしょうか。
山森社長:積極的にお客様のもとへ出向き、「お客様にとって本当に役に立つのは何か」を常に考え、非鉄金属だけに限らず、樹脂製品や副資材なども含めて企画提案していく姿勢を重視しています。
もちろん、提案がすべて成果につながるわけではありません。しかし、例えば他社の事例や業界の動向を伝え、「こういう取り組みで課題を解決している会社もあります」と共有すると、お客様自身が選択肢を広げたり、次の打ち手を検討したりするきっかけになります。そのような情報交換を重ねると、ニーズが顕在化したタイミングで最適な商材や方法を提案しやすくなり、価格や納期だけではない付加価値の部分で当社を活用していただき、いわば「お客様の痒いところに手が届く」存在になれると考えました。
アルコニックス・三高の3つの主力事業

――現在は、どのような事業を展開されているのでしょうか。
山森社長:当社の事業は、大きく3つの柱で構成されています。
1つ目は、銅管および銅管加工品販売事業になります。銅管には冷媒用、建築用、銅合金管などがありますが、中でもエアコンや冷蔵・冷凍機器などで熱を伝導させる役割を持つ冷媒用銅管とその加工品は、政府の支援を含めた地球温暖化防止政策や環境への配慮を経営戦略に組み込む企業の増加などを背景として非常に好調です。
2つ目は、銅板・アルミ型材を中心とした機械装置部品の加工と供給です。非鉄材料は、ドローンや自動運転を可能にするセンサー周辺機器さらにバッテリーの急速充電器、また電子機器や車両で発生する熱を適切に制御・放散するいわゆるサーマルマネジメント関連装置の部品として使われることが多く、自動化装置やロボット、環境型自動車の普及とともに多方面から引き合いをいただく機会が増えました。
そして3つ目は、電子部品メーカー向けの半導体関連材料・部材です。生成AIや次世代高速通信が創出するデータの保存を可能にするサーバーと、その基地であるデータセンターに関連した半導体や記憶装置には、高速で大量に出力できる半導体素子と冷却設備が欠かせません。当社では、小型で効率の良い電子部品と周辺装置の提供に努めています。
――支店によって扱う商品が違うそうですが、それぞれどう異なるのでしょうか。
山森社長:本社は大阪で、支店は札幌、東京、名古屋の3ヵ所があります。ちなみに、アルコニックスグループで北海道に拠点があるのは当社だけです。
札幌支店では、寒冷地住宅用の暖房器具に使われる部品、漁船用のアルミ板などを供給しています。東京支店では、冷暖房装置・空調機器に使われる銅管・銅管加工品の販売が中心です。名古屋支店は、機械装置部品やアルミ加工品を中心に、オフィス家具のOEM、ECサイトを通じたオリジナル商品のBtoCビジネスなどを手がけている点が特徴です。
時流に乗って販路が拡大ーCO2冷媒に使われる銅管加工品
――東京支店での冷却装置用銅管とその加工品は、CO2冷媒用装置への切り替えが需要拡大の追い風になっていると伺いました。詳しく教えていただけますか。
山森社長:従来の冷蔵・冷凍装置には、フロンや代替フロンが使われていました。
しかし、フロンはオゾン層の破壊につながる温室効果ガスであり、オゾン層を破壊しない代替フロンも温暖化係数が非常に高いことから、地球に甚大な温室効果をもたらすと懸念されています。
これを受け、年間を通じて大規模な冷蔵・冷凍システムを使用するスーパーやコンビニエンスストア、物流倉庫など冷たい商品をそのままの状態で消費者まで届けるいわゆる「コールドチェーン」関連施設では、温暖化への影響を限りなくゼロに近づけられる自然冷媒、とりわけCO2冷媒への切り替えが進んでいます。この切り替えに伴う装置の入れ替えには専用の銅管とその加工品が不可欠であることから、この数年は多方面から問い合わせをいただくようになりました。
CO2冷媒用銅合金は、銅管メーカーの協力のもと、その特徴を活かして、環境問題への関心の高まる未来を見据えて販売を続けてきた商品です。取り扱いを開始した当初から現在に至るまで、国内でCO2冷媒銅合金管の在庫販売と即時供給ができる企業は当社しかありません。小ロットでも、注文があればすぐ現場へ運ぶ機動力の高さで他社との差別化を図っています。
グループで唯一のBtoC事業ーオフィス家具の企画設計からネット通販まで展開


――名古屋支店では、グループ企業の中でも中でも珍しいBtoC事業を展開していると伺いました。どのような取り組みをされているのでしょうか。
山森社長:名古屋支店には家具やインテリア雑貨などオリジナル商品の開発要員と3DCADを扱える人材を2名配置し、企画・設計まで手掛けています。元々は、オフィス家具メーカーにアルミ材料を納めていましたが、そこから発展し、現在は完成品をOEM供給しています。コロナ禍でオフィス家具市場は縮小したものの、最近はオフィス回帰の動きで市場が戻りつつあるのです。製造は外部委託ですが、材料調達から企画、設計図作成までワンストップで対応できる体制を構築しており、傘立て・ホワイトボードの縁やハンガーなど、アルミ製オフィス家具をイトーキやオカムラなどの大手企業に納入しています。
約6年前からは楽天市場での通販事業も開始し、自社開発商品と仕入れ商品の両方を販売するようにもなりました。ただし、海外の安価な商品との競争も激しく、オリジナリティのある商品開発が生き残りのカギとなるでしょう。
既存の水平リサイクル強化と、グループ連携による新たな循環モデル構築へ
――グループの長期経営計画において、資源循環型ビジネスの要として挙げているリサイクルビジネスについて聞かせください。
山森社長:大阪の本社では、20年以上前から本格的なリサイクル事業に取り組んでいます。半導体部品メーカーに銅板の材料を供給し、加工工程で発生するスクラップを回収してメーカーにリターンする「水平リサイクル」の仕組みを確立してきました。現在では、メーカー、当社、顧客が循環的につながる完全なリサイクルの流れができています。
一方、アルミの加工品や銅管は歩留まりが高く、リサイクルする資源の量が少ないのが現状です。また、回収ルートがすでに確立されているため、新規参入は容易ではありません。素材供給から回収までの一貫体制がある強みをアピールしながら、地道な営業活動を継続しています。今後は大手メーカーにおける環境意識の高まりと、トレーサビリティ証明の必要性を追い風に、アルコニックスグループ全体でのリサイクル事業拡大を目指していきます。
自らグループ企業を回り、ビジネスのヒントや協業の可能性を探る

――非鉄金属の販路拡大や、既存の枠組みにとらわれない企画提案は、アルコニックスグループとのシナジーを生み出せそうですが、どうお考えですか?
山森社長:この2年ほど、合計で7〜8社を自分の足で実際に訪ねてみて、協業の可能性を探っています。そのきっかけになったのが、金属加工を事業とするグループ会社、株式会社ソーデナガノの故・早出隆幸前社長(2025年秋に逝去)との出会いでした。
亡くなられる約1年前に工場見学させていただいた際、早出前社長は、開発の歴史と地道な技術探求の必要性を私たちに話してくださいました。日本の高度経済成長期を、モノづくりの最先端で支えてきた方の話は非常に示唆に富んでおり、事業を成長させるためのアイディアとヒントに満ちていたのです。
そのうち優れた技術と知見を持つグループ会社の魅力が十分に共有されていないと感じ、単にグループ企業として並んで存在している状態にとどめるのではなく、互いの強みを理解し合い、シナジーを生み出すべきだと考えたのです。そのため、アルコニックス関係部署のご協力もいただき、当社の中堅社員と一緒にグループ会社を訪問して、膝を突き合わせて話すようにしています。
――現時点でどのような成果が出ていますか?
山森社長:グループ各社の商品を自社の武器として活用することで、販路の拡大につながりそうな事例が2つあります。
1つは、精密金属切削加工を手掛ける株式会社坂本電機製作所との連携です。同社の製品のひとつであるデジタル水準器は、私にとって新鮮な驚きでした。一般的な水準器は、物体の表面に機械を当てて垂直や水平を読み取りますが、使用するには一定の操作時間と熟練度が必要とされる道具です。一方、坂本電機製作所で作られているデジタル水準器は、グラフィック表示されるデジタル数値データを離れた位置から見て直感的に視認できる上、特別な技術が不要で属人化も防げるのです。
その特性や性能から、私たちの顧客にも潜在的なニーズがあるのではないかと考え、既存顧客・新規顧客へのアプローチの際に併せてご紹介する取り組みを始めました。予想以上に反応が良く、デジタル水準器の紹介をきっかけに関係を深めることができ、結果として私たちの販路拡大に繋がっているところです。
もう1つは、非破壊検査に強みを持つマークテック株式会社です。同社の分析装置や検査機器も、品質管理や工程改善に課題を感じている企業との接点を作る際にとても役立っています。
今後は、アルコニックスグループの皆さまとさらに積極的に交流し、現場を見ながら学びを深めることで、当社との連携につながる具体的なシナジーを見つけて、グループの総力を背景に販路拡大に邁進していきたいと考えています。
グループ内で資産を共有して新たな強みをつくり、成長領域でチャンスをつかみたい

――最後に、今後の展望と成長戦略についてお聞かせください。
山森社長:非鉄材料の既存の国内市場は素材メーカー再編やサプライチェーンの変化とともに、生産量は頭打ちになりつつあります。一方で、温暖化防止や省人・自動化がもたらす新製品出現と部品の変化やそれらを可能にする新しい半導体と電子部品、他方では資源リサイクルといった領域にはまだまだ伸びしろがあり、工夫次第で成長できる余地があるのも確かです。
今後は、グループ内の連携を通じて「情報」「人」「資金力」という3つの資産を共有し、チャンスを一つひとつ確実につかんで成長し続けていきたいですね。グループ各社の技術・ノウハウ・ネットワークを掛け合わせ、顧客の細かな要望や潜在的な課題にも柔軟に応えられる会社として、顧客に愛される存在を目指してまいります。
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