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生理痛体験研修から広がる、アルコニックスの人的資本経営 一人ひとりを包摂し、誰もが働きやすく、支え合える職場づくりへ

アルコニックスでは、「人財」こそが価値創出の源泉であるという考えのもと、人的資本をサステナビリティの最重要テーマと位置づけ、給与・教育・機会という3つの「K」を軸に、人財育成、健康経営、そして多様性・公平性・包括性を伴った働きやすい職場環境の整備を進めています。
特に、健康経営優良法人に3年連続で認定されているアルコニックスは、心身の健康を「個人の問題」ではなく、能力発揮と組織力を左右する経営課題として捉えています。
今回ご紹介する「生理痛体験研修」も、そうした人的資本経営の一環の取り組みです。
本稿では、当研修を企画した総務・人事部の菅 部長 及び 担当の飯島さん、そして研修を受けた当事者であるIR広報部の端本 部長とリスク管理部の丸岡 部長に研修を受けて得た気付きや今後のアルコニックスの人的資本経営について、お話を伺いました。
(※)座談会参加者の肩書は取材当時のものです。
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編集部注記 本稿で取り上げる取組みは、特定の属性の従業員に対するアファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)のみが主目的ではなく、「見えにくい・言いにくい事情を抱える人が安心して働けて、お互いが助け合える職場をどうつくるか」というアルコニックスの人的資本経営に関するものです。本文中の発言は、取材対象者の見解に基づいて再構成されています。 |
実体験を通じて「知る」:理解を促す新たな取り組み
――まず、実際の生理痛体験研修はどのようなことを行ったのでしょうか
飯島さん(総務・人事部担当者):まずはじめに、外部の講師の方をお呼びし、女性の体の仕組みや健康に関する基礎知識について講義いただきました。その後、生理痛体験デバイスを参加者の体に装着、疑似的に生理痛を体験してもらいました。
最後に、参加者同士でワークショップを開催し、今後の部署の運営に生かしていただこうというものです。

<疑似的に生理痛が体験できる機器>
――生理痛体験研修を実施した経緯について教えてください
飯島さん:最初のきっかけは、総務・人事部の中で行っていた勉強会でした。その中で、生理痛体験研修をテーマの一つとして取り上げ、「こういう研修を社内でもできるといいよね」という話が出たんです。会社として健康経営や人的資本、多様な働き方、働きやすさを進めていく中で、それぞれの健康課題にどう向き合うかは大切なテーマになっています。
生理痛体験研修は女性の健康課題を入り口にしたものですが、私たちとしては、特定のテーマだけを切り出すのではなく、社員が安心して働ける環境をどう整えるかという文脈の中で考えていました。実際、生理休暇の使い方や体調に関する相談が寄せられることもあり、制度があっても運用面で課題が残っていると感じていました。
――研修を受ける立場として、「生理痛体験研修」と最初に聞いた時にどのように感じましたか?
丸岡さん(リスク管理部長):男性は生理を経験できないので、どうしても「知識としては知っているものの、自分事として捉えにくい」テーマだと感じました。また、非常にデリケートな話題でもあることから、当事者の方も含めて職場で共有しづらい。世の中に生理痛があることは誰もが知っていても、それについて職場でちゃんと考える機会は少ない。そうした中で、会社として取り組むことにより、よりよい職場づくりを考えるきっかけになると思いました。
端本さん(IR広報部長):私が以前海外勤務をしていたときは、現地の女性社員が「ちょっと生理休暇お願いします」と本当に自然に言ってくるのを見て驚いたことがありました。日本では、まだそこまであっけらかんと言える雰囲気は少ないと思います。今回のような研修をきっかけに、「そういうことを言ってもいいんだ」という認識が少しでも広がれば、言い出しやすさも変わってくるのではないかと思いました。

「制度の使いやすさ」を越えて:見えにくい事情に向き合い、感謝を循環させる職場づくり
――研修の対象を「部長職以上」にした理由はなぜですか?
菅さん(総務・人事部長):まずは、今回の研修の実施にあたっては社長からも後押しをいただき、ライン管理職は参加が必須だねと、アドバイスをいただきました。経営層も関心が高いということがわかって、非常にスムーズに研修を実施することができました。
その上で、ライン管理職、特に部長が勤怠管理や休暇相談、働き方の調整、そして育成や評価を主体的に担っているからというのも理由の一つです。誰かが「少し休みたい」「働き方を調整したい」と思ったとき、その相談はまずライン管理職に届きます。そのライン管理職が、女性特有の健康課題を含め、見えにくい不調があることを理解していなければ、本人はますます言い出しにくくなってしまう。だから、研修の対象を部長職以上にしました。部長は、制度に基づく申請を処理するだけでなく、社員の成長や働き方を日常的に支える立場です。制度を“使えるもの”にするには、まず部長職以上の理解が必要だと考えました。

――研修の対象となった部長の立場として、実際に受けてみてどのような変化がありましたか?
丸岡さん:私にとって一番大きかったのは、「今まで意識していなかった点に、改めて目を向けるようになった」ということです。生理痛の存在自体は知っていても、それを職場の中でどう捉え、どう対応すれば良いかということまでは、これまで十分に考えていなかったと感じています。
今回の研修では実際に痛みを疑似体験する機会がありましたが、想像を超える辛さで、そのような状況のなかで働いている人がいる、また、生理痛以外でも、本人にしかわからない不調があって、その中で普通に仕事を続けている人がいるかもしれない、ということを改めて考えるようになりました。
端本さん:私も、受講前と受講後で一番変わったのは、職場運営の見え方でした。以前は、「ちょっと半休を取ります」という言葉の背景まで考えが及ばなかったかもしれません。でも研修を受けたことで、表に出てこない事情があることを意識するようになりました。管理職として「言いやすい空気をどうつくるか」という視点が大事だと感じました。制度だけでなく、日々の接し方や会議の進め方、職場の雰囲気のつくり方も含めて、見直せることはあるのではないかと思いました。
菅さん:生理痛の「重さ」や感じ方、許容度は本当に個人差が大きいと言われています。アルコニックスには生理休暇制度そのものは以前からありますが、生理の話題を職場で共有しづらい空気もあり、一律の制度を置くだけでは十分とはいえません。たとえば、2026年1月から生理休暇を半日単位で使えるように変更していますが、これは一日中同じようにつらいとは限らない、という実態に合わせた工夫でもあります。制度をつくるだけでなく、個々人の実態に合わせて柔軟に運用することも、人的資本の観点からは大切だと考えています。

「一人ひとりの違い」を前提に:様々なテーマを通じて働きやすい職場作りへ
――今回の生理痛体験研修を通じて、職場でどのような姿勢や向き合い方を大切にしていきたいと考えていますか。
飯島さん:今回の取り組みは、“配慮される側”という前提で女性を扱う施策ではなく、見えにくい健康課題やライフイベントを理由に、誰かの機会が狭まらないようにすることです。その意味では、今回の生理痛体験研修も、女性のためだけの施策ではなく、より広く、さまざまな事情を抱える人が安心して働ける職場づくりの一部だと考えています。
たとえば、男性更年期のようなテーマもありますし、メンタルヘルス、育児や介護、病気、慢性的な体調不良などもそうです。加えて、年齢、性差、体質などによって、働くうえで感じる負担や困りごとは違ってきます。もちろん、すべてを一度に扱えるわけではありませんが、今回の生理痛体験研修をきっかけに、そうした違いを前提にした職場づくりに少しずつ広げていきたいと考えています。誰か一部の人のためではなく、誰もが必要なときに声を上げやすく、周囲も自然に受け止められる環境を目指したいということです。
丸岡さん:痛みや不調の感じ方は人それぞれであり、完全に理解することは難しい面もあると感じています。だからこそ、「理解したつもり」になるのではなく、見えにくい事情があるかもしれないという前提で接し方を考えることが重要だと思います。管理職として、周囲の様子に目を配り、無理をしていないか、悩みを抱えていないか、言いたいことを言えているかといった点に気を配りながら、お互い配慮し合える職場づくりに努めていきたいと考えています。

端本さん:年齢差や立場の差があると、部下の体調についてこちらから踏み込むのはやっぱり難しい場面があります。でも、難しいから何もしなくていいわけではない。健康や家族のことは仕事より優先していい、というメッセージを会社としてきちんと出し、周囲が「無理しなくていいよ」と自然に言える環境をつくることはできると思います。制度だけでなく、空気を変えていくことが必要なんだろうと感じています。
「話せること」が力になる風土:相互理解から相互扶助へ
――この取り組みを、これからどう広げていこうと考えていますか?
飯島さん:私たちはこれを単発の啓発企画とは考えていません。健康経営の観点では、出勤していても不調によってパフォーマンスが落ちてしまう状態をどう防ぐかは大きな課題ですし、人的資本の観点では、見えにくい事情が働く機会や成長機会の制約につながらないことが重要です。そのために必要なのが、本人のセルフケアを支えるヘルスリテラシーの向上と、管理職・周囲の理解、そして相談しやすい職場環境づくりです。今回の研修は、その三つをつなぐ施策として位置づけています。
まずは、今回部長職以上を対象にしたものを、社員全体へ広げていけるかを検討しています。受講者からは、生理痛の体験だけでなく、女性の体の基礎知識の部分についても「もっと知りたかった」という声がありました。知識があることは、相互理解の第一歩になります。また、グループ会社の中には健康経営で先行している会社もありますし、本社がこうした取り組みを共有することで、まだ十分に着手できていない会社にも知見ややり方を広げていける可能性があります。今回の研修を、社内展開やグループ共有の出発点にしていきたいと思っています。

端本さん:「Well-being」や健康経営という言葉を、もっとわかりやすく社員に示していくことが必要だと感じています。会社が何を大事にしているのかが見えるようになれば、社員の安心感にもつながるし、外から見た企業理解にもつながると思います。結果として、働きたいと思う人が増えたり、会社への信頼が高まったりすることもあるでしょう。人的資本という言葉を難しい概念のまま置くのではなく、日々の職場運営や制度の使いやすさにまで落とし込んでいくことが大事なのだと思います。
丸岡さん:今回あらためて思ったのは、相手の事情を完全に理解することは難しくても、想像しようとする姿勢や、無理を抱え込ませない配慮、言いやすい空気をつくることは可能だと感じました。そうした配慮や気配りを実践する人が一人ひとり増えていくことで、結果として相互理解の輪、気配りの文化が広がり、職場全体としての風土も少しずつ変わっていくのではないかと思います。今回の研修をきっかけに、そうした積み重ねが進んでいくことを期待しています。
菅さん:理想はあります。でも、いきなりそこまで行けるとは思っていません。だからこそ、少しずつでも前に進めることが大事なんです。結果がすぐに出るかどうかではなく、本当に必要だと思うことをやり続ける。その積み重ねが、会社の風土や働きやすさを変えていくのだと思います。今回の生理痛体験研修も、その一つです。
アルコニックスが目指しているのは、誰かの事情を「その人だけの問題」にせず、安心して共有できる関係性を構築し、必要なときに支え合える職場です。そしてその視点は、今回の生理痛という一つのテーマにとどまらず、今後は男性更年期など様々なトピックの研修を計画・実施して、誰もが働きやすい環境づくりにつなげていきたいと考えています。今回の取り組みは、その考え方を、当社における制度運営の中心であるライン管理職の理解から具体化していくことの第一歩だと考えています。

―――――――インタビュー終わり―――――――――
まとめ|今回の研修を、アルコニックスの人的資本政策の中で見ると
今回の生理痛体験研修は、アルコニックスが掲げる「人財」重視の考え方を、日々の職場づくりに落とし込む一例です。アルコニックスは公式サイトで、人的資本をサステナビリティ上の最重要テーマ「H」と位置づけ、給与・教育・機会という3つの「K」を軸に、人財育成、教育研修、働きやすい環境整備、ダイバーシティ&インクルージョン、健康経営を進めています。実際に、教育研修費は1人当たり11.9万円(2025年3月期)まで増加し、2027年3月期には18.0万円を目標としています。働きやすさの改善に向けた数値も公表されており、2026年3月期(2025年度)の年次有給休暇の取得率は82.9%、月平均残業時間は13.1時間でした。
健康経営においては、プレゼンティーズムとアブセンティーズムの低減、ワーク・エンゲージメントの向上を目標として掲げ、2026年3月には健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に3年連続で認定されました。今回の生理痛体験研修は、その健康経営の一環であると同時に、見えにくい事情を抱える人が無理を抱え込まずに働ける環境を、管理職理解と職場風土の面から支える人的資本施策として位置づけることができます。
取材の中で繰り返し語られたのは、「特定の属性の方の優遇・不遇を問うものではない」という点でした。生理痛体験研修は、あくまで従業員の認識と行動変容を促す入口の一つです。その先にアルコニックスが見据えているのは、年齢や性差、体質差、病気、育児・介護、メンタルヘルス、文化的背景など、一人ひとりが抱えうる違いを前提にしながら、誰もが必要なときに声を上げやすく、周囲も自然に受け止められる職場です。制度を置くだけでなく、管理職の理解や日常の対話を通じて、働きやすさを組織の力に変えていく――。その積み重ねこそが、アルコニックスの人的資本経営の実像であり、今回のインタビューは、その一端を映し出すものになっています。
アルコニックスグループの「健康経営宣言」はこちら:https://www.alconix.com/company/statement/#health-promotion
(本研修は株式会社リンケージ様にご協力いただきました。)
リンケージ様 生理痛体験研修機器「ピリオノイド」公式サイト:https://linkage-inc.co.jp/perionoid/