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半導体・AI分野に欠かせない高機能材料を取り扱う電子材料第一部、新たな事業の創出を目指す取り組みとは

アルコニックスグループの事業活動を連載コラムでご紹介する「DREAMER’S VOICE」では、コーポレートスローガン「夢みた未来を描く」を実践し、形にしている社員や事業部を紹介しています。
半導体、AI・データセンター、EV(電気自動車)など、現代社会の進化を支える成長産業。その裏側で、最先端技術に欠かすことができない多種多様な「高機能材料・電子材料」が不可欠な役割を担っています。
アルコニックスの電子材料第一部は、こうした成長領域で高機能材料・電子材料を扱い、次の収益源となる事業の創出を目指しています。既存事業の収益基盤とそこで得た知見や人脈、アルコニックスのベンチャーキャピタル(以下、CVC)との連携などを武器に、未来に向けた価値創造に取り組んでいます。その事業の実像と展望について、部長の株本 浩二さんに話を聞きました。
プロフィール
株本 浩二(かぶもと こうじ)電子材料第一部 部長
1991年に日商岩井(現:双日)に入社。2015年にアルコニックスに入社。電子材料第一部に配属後、2018年から5年間ドイツに駐在。2023年4月より現職。
1.半導体から宇宙まで。成長産業を支える高機能材料・電子材料
(米印が付いた用語については、末尾の「用語解説」もご覧ください。)
――電子材料第一部は、主にどのような業界に関わっていますか。
株本部長:
電子材料第一部の事業領域は、半導体、通信、エネルギー、宇宙など、様々な成長産業と密接に結びついています。
私たちが取扱う高機能材料・電子材料とは、これらの分野で最終製品の性能や信頼性を支える、高純度金属、無機化合物(※1)やその結晶材料などを指します。具体的には次の通りです。
【電子材料第一部で取り扱う商材】
・半導体分野
EVのモーター制御やAI・データセンターの電源管理に不可欠なパワー半導体(※2)。当部では、その材料となるSiC(炭化ケイ素)ウェハーやその他化合物半導体材料を扱っています。また、半導体製造に用いられるスパッタリングターゲット用の高純度金属も重要な商材です。多彩な材料が使用される分野であり、様々な開発案件を抱えています。
・通信分野
スマートフォンに搭載され、特定の周波数帯の電波を選別するSAWフィルター(※3)。その基板となるタンタル酸リチウムウェハーやニオブ酸リチウムウェハーなどの様々な単結晶材料は、当部が長年取り扱う得意分野の一つです。さらに電気信号を光信号に置き換えることで半導体や通信に革命をもたらすことが期待される「光電融合」(※4)に関連するビジネスの開発にも注力しています。
・エネルギー・その他先端産業分野
再生可能エネルギーの中核である太陽光パネルに関しても、カバーガラスや配線材料などを取り扱っています。フィルムのように薄く軽量な次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池(※5)やカルコパイライト太陽電池(※6)の動向も注視しています。その他にロケット部材、磁性材料、金属粉、セラミックス粉なども扱っており、幅広い産業の基盤を支えています。

――電子材料第一部の活動分野は非常に多岐にわたります。グループ内での役割をどのように捉えていますか。
株本部長:
電子材料第一部は、半導体、通信、エネルギー、宇宙関連など、社会の進化を支える多様な産業に高機能材料・電子材料を供給しています。これらの材料は最終製品から見えにくいものの、その性能や信頼性を根底から支える重要な役割を担っています。
当部は、アルコニックスグループ全体で見ても、半導体や通信分野等の先端産業に最も近いところで活動している部署だと思います。そのため、拡大するマーケットで新たな収益源を獲得するという、攻めの部分を担わなければならないと考えています。
また、こうした成長市場ではディープテック(先端技術)系のスタートアップ企業の活動が活発です。当社のCVCチームと連携し、出資先企業の新しい技術をビジネス化することも大切な役割の一つです。
2.既存事業を収益基盤に、次の事業機会を探る
――電子材料第一部の特徴を一言で語るとどんなものでしょうか。
株本部長:
営業担当者全員が開発案件を担当していることです。ここでいう「開発」には、新規商材の開発営業はもちろん、ビジネスの仕組みの構築、潜在的な買収候補先企業の選定や状況の把握なども含まれます。また、開発専任の担当者を置くのではなく、各人が既存ビジネスを担当しながら、将来の収益源となる可能性を秘めたテーマに取り組んでいます。
敢えてこれを特徴だと言いたいのは、各人が担当する開発案件の件数と、その収益期待値の大きさが理由です。この「全員が開発案件を持つ」体制は、2015年の部発足時から続く文化で、更に部員間の情報共有を意識することで組織として幅広い領域にアンテナを張り、多様な事業機会を同時に探索することが可能となっています。これは部の強みだと思います。既存案件のフォローだけをやっている担当者はいませんし、逆に開発だけをやっている人間もいません。当然ながら一方を片手間に取り組めるわけもありません。
新しい材料はどんどん出てきますし、技術の進歩も非常に速い。そのため常に情報をアップデートしつつ技術的な背景もある程度理解していないと全体像が掴めません。部員には、担当商材はもちろん、その周辺で注目されるマーケットや技術についてもしっかりとアンテナを張り、知識と情報を駆使し、その上で想像力を発揮してほしいと伝えています。
この体制は、中途採用で入社する人材にとっても魅力的な環境です。商社やメーカーでの営業経験、事業開発の経験を活かし、自らテーマを見つけて案件を推進する裁量があります。顧客、サプライヤー、スタートアップ、グループ会社など多様な関係者をつなぎ、アイデアを具現化する力を磨きつつ、既存事業を通じてコアとなる専門性も同時に養われます。

――既存案件と開発案件との関係性について教えてください。
株本部長:
ロケット部材となる銅合金や金属粉末、結晶材料、太陽光パネル関連の商材など、長年にわたる安定的な収益源があったうえで、様々な開発案件に取り組んでいます。足元の事業で収益を確保しなければ、次の挑戦はできませんから、今ある仕事を守っていくことは非常に大事です。ただ、既存事業も決して安泰ではありません。今ある仕事だからといって守るだけではなく、常に変化に合わせていかなければなりません。
既存事業は、単に日々の収益を稼ぐだけでなく、新規開発案件を推進するための基盤としても機能しています。長年の取引で築かれた顧客との接点やサプライヤーとの関係、そして素材や用途に関する蓄積された知見は、新たな事業機会の探索や目利きにも活かされています。
3.CVC投資先の事業化に積極関与、アルコニックスグループ横断の連携モデル
――特に今注力している取組は何ですか。
株本部長:
CVC投資先であるスタートアップ企業との連携に注力しています。中でも、革新的な銅配線材料を開発する会社との協業は、アルコニックスグループ全体が関わる象徴的な取り組みといえます。このプロジェクトでは、グループの様々な関係者の知見や技術が組み合わされており、電子材料第一部は、グループ会社での受託生産と販売戦略の策定を含む、プロジェクト全体のコーディネートと製品販売を担っています。
スタートアップが持つ優れた技術を、商社としての販売網やプロジェクト推進力、そしてグループ内の製造機能を組み合わせて事業化へと近づける。この座組は、単なる投資リターンだけでなく、事業上のシナジーを追求するアルコニックスCVCの思想を体現したものです。
――同社との協業は、どのように始まったのですか。
株本部長:
当たり前のことですが、まず直感的に製品が市場で評価されるイメージを持てたことが全ての始まりです。しかしスタートアップの場合、技術は素晴らしいものの量産経験がないというほぼ共通の課題があります。一方で、当社のグループ会社であるマークテックは受託生産の拡大という事業方針を示していました。そこで、両者をつなぐことでも、お手伝いできるのではないかと考えました。
スピード感をもって事業化を推進するため、量産立ち上げに必要な主要設備を電子材料第一部で先行して手配する判断もしました。これら設備の納期は1年弱ですが、この先行手配で半年以上のタイムロスを防げました。この判断もビジネスのポテンシャルを信じているがためです。
CVCチームとの連携は、私がドイツから帰国した2023年以降、特に意識して強化してきました。CVCとの連携は、スタートアップへの投資にとどまらず、その技術の社会実装に向け、原料調達、量産立ち上げ、製品販売などをグループ内外の機能を「つなげて」支援する取組みです。
<アルコニックスのCVCに関してはこちらの記事もご覧ください>
4.成功を次の挑戦と成長に「つなぐ」好循環を目指して
――今後、電子材料第一部としてどのような姿を目指していますか。
株本部長:
まず目の前にある複数の開発案件を、一つでも多く実現させることが重要です。そのうちのいくつかが収益化すれば、更にそこにリソースを投入することで、より一層ビジネス拡大のチャンスに繋げていけます。また、その成功体験は部および部員の自信となり、更なる挑戦へのモチベーションになります。
電子材料第一部は会社から長らく期待を寄せられている部署だと思いますので、その期待に応えるべく、これまでの蓄積を成果につなげるという強い意志で取り組んでいます。諸先輩方が築いた基礎の上に、この3年間で柱や梁を組み上げてきました。人も育ち、情報の蓄積・共有も進みました。
様々なスタートアップ企業とのプロジェクトを始め、SiCウェハー、光通信関連材料、ナノ金属粉など、将来に期待が持てる高機能材料の開発案件を複数進めています。これら案件をできるだけ早く収益化し、更なるリソース投入という好循環を生み出すことで会社に貢献していきたいと思います。
あとがき
電子材料第一部は、既存事業で培ったリソースを基盤に、更に縦横に掘下げた商材やマーケットに関する知見を掛け合わせ、CVC投資先の技術、商社としてのグローバルなネットワーク、グループ会社の機能を組み合わせながら、着実に次の事業機会を育てています。
CVCとの取組みを含む様々な開発案件をどのように事業化していくのか、その挑戦はアルコニックスグループの未来を創造する重要な一歩となるでしょう。
用語解説
- ※1 無機化合物:有機化合物(炭素を基本骨格に持つ物質)以外の化合物の総称。具体的には、水や酸素、金属、塩(えん)、単純な一部の炭素化合物(一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸塩)など。
- ※2 パワー半導体:電力の変換や制御に使われる半導体。EVのモーター制御やデータセンターの電源管理などに用いられる。
- ※3 SAWフィルター:表面弾性波(Surface Acoustic Wave)を利用し、特定の周波数の電気信号だけを取り出す電子部品。スマートフォンの通信機能に不可欠。
- ※4 光電融合:半導体チップの内部や周辺で、電気信号を光信号に置き換える技術。情報処理の高速化や低消費電力化が期待される。
- ※5 ペロブスカイト太陽電池:ペロブスカイト構造を持つ結晶材料を使った次世代太陽電池の一種。薄く軽量で、曲げられる特徴を持つ。
- ※6 カルコパイライト太陽電池:カルコパイライト結晶構造を持つ結晶材料を使った次世代太陽電池の一種。ペロブスカイト太陽電池と同様に、軽量・柔軟で、かつそれと比較して耐衝撃性や耐火性が高い。可視光をよく吸収するペロブスカイトと、赤外光をよく吸収するカルコパイライトの組み合わせることで、発電効率を高める研究も進んでいる。
