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カーボンニュートラルとは?2050年目標達成のカギを握る「資源循環」の役割

2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするというカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーへの転換やEV化が進められています。その一方で、「資源循環」への理解はまだ進んでいません。金属の新規採掘や製錬には膨大なエネルギーが必要であり、CO2排出量も大きいため、使用済みの資源を再利用し、循環する仕組みが整えば、サプライチェーン全体のCO2を大きく削減できる可能性があります。
本記事では、非鉄金属の専門商社として国内外のサプライチェーンに関わるアルコニックスグループの視点から、カーボンニュートラルの全体像と、その達成に欠かせない「資源循環」の役割をわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
- カーボンニュートラルの定義と企業に対応が求められる理由
- 国内のカーボンニュートラルに向けた取組みの全体像
- カーボンニュートラルに向けた企業の対応の要点
- 金属資源の「資源循環」がカーボンニュートラルに有効な理由
- 自動車やアルミニウムの、業界別のカーボンニュートラル取組み事例
- アルコニックスグループの「資源循環」事業を通じたカーボンニュートラルへの貢献
なぜ今、カーボンニュートラルなのか?カーボンニュートラルの定義と国際合意

※図は、複数の関連資料を参考に当社作成
カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量と、森林などの自然や技術による吸収・除去量を均衡させ、地球全体での排出量を「実質ゼロ(ネットゼロ)」にする取組みです。できるかぎり排出量を削減したうえで、それでも残る「排出量」から「吸収・除去量」を差し引いて実質ゼロとみなす考え方のことをいいます。
2015年に採択された「パリ協定」により、「世界共通の長期目標として、世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに(2℃目標)、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)」、そのために「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」等が合意されました。この実現に向けて、世界が取組みを進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。
日本政府も、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。以降、政府・産業界を挙げて脱炭素に向けた政策や技術開発が加速しています。
カーボンニュートラルが急務とされている背景には、異常気象や自然災害の頻発など、気候変動の影響が世界規模で顕在化していることがあります。この危機感を背景に、国際社会全体で、産業構造そのものを脱炭素型に転換する流れが加速しました。
さらに、ビジネスの観点で見逃せないのが、投資家や金融機関の動きです。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が拡大する中、気候関連リスクへの対応状況が企業価値の評価項目に組み込まれ始めています。CO2排出量の多い企業は、資金調達や株式市場での評価において不利になるケースも出てきました。
カーボンニュートラルへの取組みは、企業の競争力や取引先からの信頼、資金調達条件にも直結する、経営戦略に欠かせない重要なテーマになっているのです。
日本のカーボンニュートラル戦略
日本政府が進めるカーボンニュートラルに向けた政策には、どのようなものがあるのでしょうか。政策の中核をなす「グリーン成長戦略」と「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」について解説します。
グリーン成長戦略と重点14分野

※図は、複数の関連資料を参考に当社作成
経済産業省は、カーボンニュートラル実現に向けた産業政策として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を2021年に改訂・公表しました。この戦略では、成長が期待される14の重点分野を定め、技術開発・市場創出・規制整備を一体的に進める方針が示されています。
対象分野には、風力・水素・自動車、蓄電池、半導体・情報通信、住宅・建築、そして資源循環関連産業などが含まれます。単なる規制強化ではなく、脱炭素への取組みを新たな成長機会と捉えている点が特徴です。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)
「脱炭素=成長機会」という考え方の延長として、GX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現が目指されています。これは、エネルギー・産業構造を含めた社会全体を脱炭素と経済成長を両立する構造へ転換していくことです。日本政府は2022年に官民合わせて150兆円規模のGX投資を表明し、2023年にはその方向性をまとめた「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)」を策定しました。
ここにおいて、GXは単なる環境政策ではなく、脱炭素を軸とした経済成長とエネルギー安全保障を追求する重要な国家戦略として位置づけらており、企業の脱炭素投資に対する補助金や税制優遇といった支援策も、分野ごとに段階的に整備されつつあります。
その具体策のひとつが、CO2排出量に応じて経済的な負担を課す「排出量取引制度(GX-ETS)」です。2026年4月から、CO2の直接排出量が前年度までの3年度平均で10万tを超える大規模事業者を対象に、この制度への参加が義務付けられました。
この制度では、政府が一定の基準の下、制度対象者に排出枠を割り当て、毎年度、排出実績量と同量の排出枠を法令に定める期限までに保有することを義務付けています。制度対象者は、排出枠の過不足に応じて、事業者間で排出枠を取引することができます。実際の排出量が、割り当てられた排出枠を超過した事業者は、不足する排出枠を他事業者から調達する必要があります。反対に、排出量の削減が進んだ事業者は、余剰枠の売却や繰り越しが可能です。
さらに、2028年度からはGX推進法にもとづき化石燃料を採掘または輸入する事業者等向けの「化石燃料賦課金」制度が始まる予定です。採掘または輸入される化石燃料に由来するCO2量に応じて、輸入事業者等に値段(賦課金)が課されるようになります。排出量の多い化石燃料にはこの費用が転嫁されることから、消費者はより排出量の少ない燃料を選ぶように政策的に促されます。
このように、排出削減へのインセンティブを市場メカニズムの中に組み込む仕組みが、段階的に導入されています。
カーボンニュートラルに向けて企業に求められる対応

※図は、複数の関連資料を参考に当社作成
カーボンニュートラルの実現に向けて、企業には自社のCO2排出量を正確に把握し、対外的に開示していくことが求められています。ここで基準となるのが、「GHGプロトコル」という国際的な排出量算定の枠組みです。この枠組みは、自社を中心としたサプライチェーン全体を「Scope1・Scope2・Scope3」の3段階に分けて、それぞれの階層における排出量を求めます。
■Scope1・Scope2・Scope3の概要
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枠組み |
概要 |
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Scope1(直接排出) |
自社での燃料使用(ガス、社有車のガソリンなど)のことで、自社が直接排出するCO2などの温室効果ガスを指す |
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Scope2(間接排出) |
自社が購入した電力や熱、蒸気の使用に伴う間接排出のこと |
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Scope3(その他の間接排出) |
原材料の調達、輸送、従業員の通勤、製品の廃棄など、サプライチェーン全体で発生する排出を指し、多くの企業にとって排出量全体の大部分を占めることが知られている |
企業のカーボンニュートラルへの取組みは、まず自社の事業活動でどの工程から、どれだけのCO2を排出しているかを把握することから始まります。一般的には、自社で直接・間接的に排出するScope1・Scope2の削減を進め、Scope3(サプライチェーン全体)へと取組みを広げていきます。
例えば、Scope1では設備の省エネ化、Scope2では再生可能エネルギー由来の電力への切り替え、Scope3では製品の再資源化や、取引先と連携した排出量削減などの取組みが可能です。
こうした算定・開示の流れは、任意の取組みにとどまりません。有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示についても、プライム市場上場企業を対象に、時価総額の大きな企業から2027年3月期以降、段階的にSSBJ基準(日本におけるサステナビリティ開示基準)に準拠することが義務付けられています。これに伴い、自社のサプライチェーンCO2排出量の把握・開示については、プライム上場企業を中心に対応の緊急性が増しています。
※アルコニックスグループのScope1・Scope2・Scope3排出量はこちらからご覧になれます。
[E]環境 | アルコニックス株式会社
また、サプライチェーン全体のCO2削減に取り組むにあたって、取引先である中小企業に対しても、排出量データの提供や削減への協力を要請するケースが増えています。自社のCO2排出量の開示義務がない規模の企業においても、取引を継続する上で、実質的な対応が必要となっているのです。
カーボンニュートラルに向けたCO2削減と資源循環の関係
CO2削減に向けて社会全体が取組みを進める中で、あらためて注目されているのが「資源循環」の重要性です。環境省の推計によれば、日本の温室効果ガス排出量のうち資源循環が貢献できる余地がある部門の排出は36%(2020年度)とされています。CO2削減というと、再生可能エネルギーへの転換やEV化に目が向きがちですが、素材そのものの調達方法を見直すことも、削減効果の大きい有力な選択肢といえます。
■日本の温室効果ガス排出量(電気・熱配分前)のうち資源循環が貢献できる余地がある部門の排出量及び割合の推移

出典:環境省「第四次循環基本計画の第2回点検及び循環経済工程表の策定について 参考資料」
中でも金属は、その新規採掘から製錬にかけての工程において、膨大なエネルギーを必要とし、それに伴うCO2排出量も大きいことが知られています。鉄・銅・アルミニウムなど、製錬時のエネルギー負荷が大きい素材ほど、使用済み製品から回収した再生材を活用することによるCO2削減効果は顕著です。
例えば、製錬に莫大な電力が投じられることで知られるアルミニウムにおいては、スクラップを再利用して地金を生産すると、新地金の生産に由来するCO2排出量の約3%で済むことが知られています。(出典:日本アルミニウム協会(2023)「展伸材用スクラップ溶解のインベントリ分析報告書」P6)
つまり、エネルギー転換によって製造プロセスのCO2排出を減らす取組みに加え、「一度使った資源を、廃棄せずに再び使う」という資源循環の発想が、CO2削減のもうひとつの重要な柱になるのです。また、国内で使用済み資源を回収・再資源化する体制を整えることは、輸送に伴うCO2排出の削減と併せて、地政学リスクに左右されにくい調達体制の構築にもつながります。
資源循環の定義と日本の制度

「資源循環」とは、採掘した資源を製造・利用したのち廃棄するという一方通行の流れを、使用済み資源を回収し、再資源化・再利用へとつなげる循環型の流れへと転換していく考え方です。近年では、この資源循環という考え方を土台としつつ、より広い概念である「サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行」が、日本の産業政策における重要な柱のひとつとして位置づけられるようになってきました。
サーキュラーエコノミーとは、資源の投入量を抑えつつ、繰り返し資源を利用することが、コスト面や市場拡大の観点からも合理的となる経済システムのことです。使用済み製品の回収・再使用や再生材使用の義務化に加え、設計段階からリサイクルを前提とした製品を作ったり、原料・素材の品質や出処を証明するデータ基盤を整備したりといった、バリューチェーン全体の再編が必要です。資源を「動脈産業(素材や製品を生み出す製造業)」から「静脈産業(廃棄物処理・リサイクルを担う業界)」へと一方向に流すのではなく、両者が密接に連携する「動静脈連携」の実現に向け、国や各業界団体、学会などが一体となる動きが加速しています。
循環経済は国家戦略として位置づけられています。2024年8月に閣議決定された第5次「循環型社会形成推進基本計画」では、循環経済への移行を前面に打ち出し、資源生産性や循環利用率(投入資源全体に占める循環資源の割合)などの物質フロー指標を用いて、資源循環の進捗状況を把握することとされています。さらに2026年4月に、循環経済に関する関係閣僚会議において「循環経済行動計画」が決定され、再生資源供給サプライチェーンの強靭化に向け、産官学多岐に渡る様々な施策が、5年間のロードマップと共に定められました。

出典:第4回 循環経済に関する関係閣僚会議 資料1「循環経済行動計画(案)(概要)」
業界別・カーボンニュートラルの取組み事例
実際に各業界ではどのような具体策を打ち出しているのでしょうか。自動車業界とアルミニウム業界の取組みを例として紹介します。
自動車:各国の実情に寄り添った「全方位」の脱炭素アプローチ
自動車業界では、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、単一の技術に依存しない「マルチパスウェイ」という考え方が採用されています。
背景にあるのは、国や地域によってエネルギー事情や走行環境が大きく異なるという事実です。そのため、BEV(バッテリー式電気自動車)・HEV(ハイブリッド車)・PHEV(プラグインハイブリッド車)・FCEV(燃料電池車)・合成燃料といった複数の選択肢を組み合わせ、それぞれの市場に適した形で脱炭素を進める方針が採られています。
具体的には、車両の製造段階だけでなく、走行時、さらには廃棄時までを含めたライフサイクル全体でCO2排出量を捉え、削減に取り組む動きが広がっています。「走行時に排出しない」だけでなく、素材の調達から廃棄までを含めた総合的な脱炭素が、自動車業界の共通課題となっているのです。
アルミニウム:「作る」から「循環させる」への転換
製錬に膨大な電力を要するアルミニウム業界では、再生地金の活用拡大は、他の素材産業と同等またはそれ以上に大きなCO2削減効果を持ちます。また、アルミの需要も、AIブームに伴い需要が急拡大する半導体製造装置メーカーや、軽量化・高強度を求める自動車産業が牽引する形で、世界的に増えると見込まれており、十分な資源の確保という観点からも再生地金の活用が求められています。
こうした状況を受け、日本アルミニウム協会は2022年に「アルミニウム圧延業界の2050年カーボンニュートラルに向けたビジョン」を公表しました。板材や押出材といった展伸材に使用する再生地金の比率を、現状の約10%から約40%にまで大幅に引き上げ、CO2排出量の大きい海外からの新地金輸入への依存を最小化する方針が打ち出されています。この方針は前述の「循環経済行動計画」にも盛り込まれています。
非鉄金属の商社流通機能を持つアルコニックスの役割

カーボンニュートラルに向けて、各業界団体や素材メーカーは、製造プロセスそのものの脱炭素化に向けて技術開発を進めています。一方で、使用済み素材を回収し、再生地金としてサプライチェーンに再び戻していくためには、製造の現場だけでは完結しない、もうひとつの機能が必要です。それが、素材を「循環させる」ための流通システムを構築するプレイヤーとしての商社の役割です。
非鉄金属の「総合ソリューションプロバイダー」であるアルコニックスは、商社流通機能を通じて、国内外に張り巡らせたリサイクル原料の調達ネットワークを有しています。使用済み素材を回収し、必要とされる場所へ再び届けるという「つなぎ手」の機能を担うことで、業界全体のカーボンニュートラル実現に貢献しています。
ビルの解体現場や工場などから発生する非鉄金属スクラップには、自動車部品、アルミサッシ、アルミ缶、銅線、上故銅(表面劣化や異物付着などが無い銅スクラップ)など多種多様な品目があります。これらを種類ごとに選別し、周辺環境に負荷を与えずに保管するためには、広い土地、そして高度な管理体制とノウハウが必要です。
アルコニックスグループのひとつであるアルミ銅センター株式会社は、大阪と北九州に大規模な「再生資源ヤード」を擁しています。また、アルコニックスグループは埼玉県羽生市に17,700㎡の土地を取得し、第三の「再生資源ヤード」の建設工事に着手しており、2027年春からの稼働を目指しています。第一段階として約9,500㎡規模からの運営を予定し、さらなる業容の拡大を企図しています。
アルコニックスは1981年の創業以来、40年以上非鉄金属スクラップを取り扱ってきました。「必要な量を集め、仕分け、納入する」というトレーディング・問屋の機能を通じて、非鉄金属の資源循環の一翼を担い、「集荷量日本一!」を合言葉に、循環経済の実現に益々貢献していくことを目指しています。
<北九州「再生資源ヤード」に関する詳しい説明はこちらから!>
アルミリサイクルの現場から:日本アルミニウム協会がアルコニックスに見出す循環経済への突破口 | アルコニックス株式会社
まとめ:脱炭素時代の資源戦略として、資源循環を捉え直す
カーボンニュートラルは、再生可能エネルギーへの転換やEV化だけで実現できるものではありません。金属をはじめとする素材の調達方法そのものを見直す「資源戦略」として捉え直すことが重要です。特に、製錬時のエネルギー負荷が大きい金属分野においては、再生材の活用が脱炭素を支える柱のひとつとなります。
また、企業に求められる役割も変化しています。自社のCO2排出量を算定するだけでなく、調達先との連携や再生材の活用を通じて、自社ならではの脱炭素ストーリーを描く段階に入っているのです。資源循環を起点に据えることは、単なる環境対応にとどまらず、サプライチェーン全体の競争力と持続可能性を高める、これからの重要な経営テーマといえるでしょう。
アルコニックスグループは、非鉄金属の卸売・流通を担う商社流通セグメントと、加工・製造を担う製造セグメントの両輪により、原料の調達から再生材の加工・供給まで、資源循環のさまざまな工程で重要な役割を果たしています。
アルコニックスグループについて
アルコニックスグループは「夢みた未来を描く」を掲げ、「卸売・流通」機能を担う商社流通セグメントと、「加工・製造」機能を担う製造セグメントからなる、アルミニウムや銅、レアアースなどのモノづくりに欠かせない非鉄金属をワンストップで提供する「総合ソリューションプロバイダー」企業です。次世代を見据えた事業展開により、国内の製造業において持続可能なビジネスモデルを生み出し、競争力の向上を目指していきます。
アルコニックスグループ早わかりコンテンツ | アルコニックス株式会社
こんなところに「アル」コニックス | アルコニックス株式会社
FAQ
カーボンニュートラルと脱炭素は同じ意味ですか?
広い意味では、どちらもほぼ同じ方向性を指す言葉として使われています。ただし、厳密には両者のニュアンスには違いがあります。
「脱炭素」は、化石燃料の使用や温室効果ガスの排出そのものを減らしていく取組みを指すことが多い言葉です。一方「カーボンニュートラル」は、削減しきれなかった排出分を、森林などによる吸収や除去技術によって打ち消し、実質的な排出量をゼロにするという概念を含んでいます。「排出を減らす」取組みである脱炭素に対し、カーボンニュートラルは「差し引きゼロにする」という、より広い枠組みを持つ言葉だと理解しておくとよいでしょう。
Scope1・Scope2・Scope3とは何ですか?
Scope1・Scope2・Scope3とは、企業のサプライチェーン排出量を区分するための国際的な分類基準で、GHGプロトコルによって定められています。
サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量となります。
- Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
- Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
- Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※原材料調達・物流・製品使用・廃棄など、サプライチェーン全体で発生する排出
特にScope3は、企業の排出量全体に占める比率が大きいことが知られており、再生材の調達などを通じたサプライヤー側との連携が、CO2削減のカギを握ります。
サーキュラーエコノミーと資源循環の違いは何ですか?
「資源循環」とは、採掘・製造・利用・廃棄という一方通行の流れを、回収・再資源化・再利用の循環フローへと転換していく考え方です。一方「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は、この資源循環を含みながらも、より広い概念として位置づけられます。資源を循環させることを前提に、経済システム全体を再設計していく政策・経営アプローチを指す言葉です。
資源循環は本当にCO2削減につながりますか?
資源循環は実際に大きなCO2削減効果を持ちます。理由は、鉄・銅・アルミニウムなど、製錬時のエネルギー負荷が大きい金属ほど、新地金の製造に比べて再生材の活用によるCO2削減効果が顕著なためです。また、海外からの新地金輸入に頼るのではなく、国内での回収・循環を進めることで、輸送に伴うCO2排出の削減や、調達リスクの低減効果も期待できます。
企業はカーボンニュートラルに向けて何から始めればよいですか?
企業のカーボンニュートラルでまず取り組むべきは、自社のCO2排出量(Scope1・2・3)を正確に把握し、削減ポテンシャルの大きい領域を特定することです。その上で、エネルギー使用の削減や、再生可能エネルギーへの転換を進め、さらに、再生材の活用や調達先の選定見直しなど、サプライチェーン全体を視野に入れた対応を進めていく必要があります。業界団体や政府が用意する支援制度(補助金・税制優遇など)を活用しながら、段階的に取組みを進めていくことが、現実的な進め方といえるでしょう。
